ASEP2009に参加して
福井県立若狭高等学校
教諭 田辺 静也
1 はじめに
本校生徒とWorld Youth Meeting, Asian Student Exchange
Programとの関わりは下記の通りである。
2007年度 ASEP 2007 視察(教員1名参加)
2008年度 WYM 2008 エントリー校として単独presentation
ASEP 2008 視察(教員2名参加)
2009年度 WYM 2009 三民高校と協働presentation
ASEP 2009 三民高校と協働presentation
本校は、教育の三本柱として、「縦割り行事」「ボランティア活動」「国際交流」を掲げており、もともと国際交流の文化を有する学校であった。2007年度の学校創立110周年を機に、同窓会から国際交流事業に対して、向こう10年間毎年100万円の予算がつき、新しい事業を始めることとなった。WYMへの参加は、福井商業高校の実践発表でその存在を知った担当教員の発案によるものである。
今年度は協働presentationに参画することになったが、WYMは当然白紙からのスタートであり、ノウハウを持っている相手校に頼る面が多かった。それでも、交流によって12名の生徒たちが得たものは大きく、彼女らのASEPへのmotivationは高かった。選抜された3名の生徒は、不安を持ちながらもASEPに期待を寄せていた。経過を含めて、今回を振り返ってみたい。
2 事前指導
(1) 離日前
生徒募集が10月下旬、参加生徒が決まったのが10月末の締切ぎりぎりだった。10月の職員会議での参加日程等の了承を待って生徒募集をかけたためで、この後の進捗状況にも影響が出てしまった。相手校からは10月下旬にはmailが届いており、準備の遅れは明白であった。結局、11月中にできたことは、機器の具合が悪かったり、相手校とのスケジュール調整が上手くいかなかったりで延期もあって、SkypeによるIce breakingと若干の話し合いだけであった。来年度は10日から2週間程度動きを早くしたいと思っている。
トピックとして取り上げたのは、本校は「水」、相手校は「災害」であった。mailのやりとりの中で最終的にトピックは「水」に決まったが、議論が深まった結果ではなく、相手に譲ってもらった感は否めない。アンケート内容の検討と実施、集計で11月は過ぎていった。
12月は、期末考査と2年生の修学旅行でほとんど時間が取れず、出発前々日と前日の2回Skypeでの話し合いが精一杯であった。この時点になっても、日本の水事情の資料が不足していたが、作業は高雄到着後にせざるを得ない状況であった。
(2) 高雄到着後
先述の通り、26日(土)は、まずは日本側の資料収集、それを受けてのscript,pptの完成が急務であった。しかし、これを1日では終わらせられず、やむなく、host familyにお願いして27日(日)の午前半日を譲っていただき、また28日(月)は夜も教室を借りてrehearsalを行った。それでもpresentationは制限時間内に収まらず、ついには当日の朝もrehearsalという事態になった。幸い、rehearsalは上手くいき、一安心して会場へと向かった。離日前の準備ができていればこのような迷惑をかけることはなかったであろう。
準備は大変ではあったが、相手校との関係は生徒も教員も良好ではあった。ただ、お互いが納得するまで本当に相手と議論を戦わせたかという点では、残念ながら否である。特に、英語でcommunicationをする訓練をそれほど頻繁に行っていない本校の生徒にとっては、ハードルは高く、その場で相手と対等に渡り合うことは難しかった。事前の準備を質量ともに改善することが今後の課題である。
2 当日
やるだけのことをやったら、本番は楽しむことである。生徒達は他チームのpresentaionに聞き入り、また自分たちのpresentationも精一杯行った。ミスはつきもの。伝えたいことが伝わったかが最も大事だ。この日は、私自身もpresentationやpartyを楽しんだ。
3 事後指導
帰福の電車の中で、生徒達にはしおりのアンケートを書かせた。また、レポートの課題をいただいたことは、自分の経験を振り返り再発信するのによい機会であり、ありがたいかぎりである。校内では、後述の通り、彼女たちに何度かpresentationの機会が与えられる予定である。そういう機会がまた彼女たちを成長させてくれると信じている。また、ASEPを多面的に見直すために、他の生徒さん達のレポートも是非読ませたいと思っている。
年明けに管理職に報告し、3学期の始業式の場で伝達表彰をしていただいた。同窓会の援助を受けていることもあり、2月には会長等数名の役員の方への報告会を予定している。
最も大事なのは、生徒への還元である。本校におけるWYM, ASEPの認知度はまだ決して高くはない。あるいは、知っていても部活動との折り合いがつけられなくて参加できなかったり、一歩が踏み出せないでいる生徒もいる。より大きな活動にしていくためにも、生徒による報告会は重要だと考えている。併せて、報告書の作成も計画しているところである。
4 終わりに
WYMもASEPも生徒が集まらないことには始まらない。生徒達をその気にさせ、多少自己負担が増えても参加したくなるような事業になるよう、今後も取り組んでいきたい。