ASEPでの国際交流コーディネート

大阪市立扇町総合高等学校 池田明

 

1.ASEPの特徴

 台湾高雄におけるASEPにかかわった多くの方は、さまざまな国際交流活動の中でも最も有意義な活動の1つであると感じられるのではないでしょうか。参加する教員にとっても学生・生徒たちにとっても、学びや気付きの多いこのASEPという取り組み特徴は、柔軟性と継続性にあると私は感じます。この二点は、単に大会当日の、あるいは、高雄での滞在期間だけの種々のイベントや活動だけでなく、事前・事後の取り組みや手配・事務処理といった部分でも十二分に感じられます。

 私自身はASEP2004からかかわらせていただき、今年で六年連続しての参加となりました。毎年、自身のかかわり方や役割は変化しています。特にこの三年ほどは、ASEP全体のコーディネートにもかかわらせていただきました。そして、ASEPがいかに良質な学びを提供できているかを改めて感じるとともに、柔軟性と継続性の大切さを強く感じるようになりました。

 今回、ASEP2009の参加レポートとして、コーディネートをさせていただいた中でのこの二つの特徴に関するチップスを思いつくままにあげさせていただく事にします。

 

2.柔軟性を失わないためのチップス

 ASEPに参加する日本チームの特徴は、日本各地からのさまざまな参加者で構成されているという点です。通常の国際交流活動では多くの場合、日本チーム全体が1つの団体として行動し、たとえ複数の地域からの参加者が現地で集う場合でも、事前研修等で交流の趣旨や約束事や現地での制約などかなり事細かな共通理解を求められます。また国際会議、国際学会など基本的に個人や少人数のグループでの参加となる場合でも、費用や日程などをはじめとして、かなり厳密な決まりごとが存在しています。対して、ASEPでは参加者の行動については、プレゼンテーション大会の日程など基本的なイベントを除いては、各自の責任でもって決定し遂行されていきます。換言すれば、参加者が必ずしなければならない事として規定されているものの数が圧倒的に少ないといえるのではないでしょうか。

 いろいろな参加の形態や、各校の様々な事情を吸収しつつ、日本からの参加者を一つのチームとして集約していくために、コーディネートは場面に応じた柔軟な対応が必要となってきます。そのためには、・・・・

@ 全体に提出を求めるデータや資料の請求は極力早めに告知する。

A さまざまな提出や集約に関する〆切は余裕を持って設定する。

B 〆切は厳密に守られないことも多いことを勘案しておく。

C 各参加者の事情に配慮できるよう最大限の努力をする。

    D 諦めない・疑わない・キレない。何事も前向きに・親切丁寧に。

    E 情報は垂れ流しではなく、うまく整理して上手に共有する。

なんだか観念的な記述になってしまっていますが、自戒の念も込めて。

3.継続性を失わないためのチップス

 柔軟性について考えると、なかなかに難しい要素が多々あったのですが、継続性ということで言えば何はともあれ活発な交流を行い続けることだと思います。つまりは、メールやネットミーティングなどのコミュニケーションツールを相互にきちんと使い続けることが何よりかと。

 ただ、言うは易しですが、例えばメールのやり取り一つにしても、思うように進めることが出来ない状況というのは多々あります。むしろ、スムーズに思い通りに進むことの方が少ないかもしれません。ということで、コーディネートしながら感じたジレンマなんかも思い出しつつ、希望も含めて書かせていただくと・・・・

@ 基本ツールはメールが良い、記録に残るしコストもほぼかからない。

A ネット会議をもっと活用したい。国際電話では会話力の他にコストも問題である。

B いわゆる常連でなくとも、何を見て情報を確認すればよいのかを明確にしたい。

C 事前のしかけは綿密に、なるだけコミュニケーションをとっておくこと。

    D 事後の振り返りは必須。やりっ放しにしない。

    E ということで、行くまでと、帰ってからの方が大切。一過性にしないことが特に重要。

 ま、この継続性というところはたいへん難しい問題でもあります。例えば、教員が自校に帰ってから、事ある毎にASEPのことを校内で持ち出し過ぎると、嫌われるというケースもままありますし。また、生徒たちには、自身と経験は深めてほしいのですが、取り違えて変な小生意気さだけが出てしまわないような配慮も必要ですし。

さらに、継続性ということで、大切なツールであるネットワーク活用においての、ネチケットといいますか、特にメールを中心とした交流において、コーディネートする側として望みたのは・・・・

@ 国際交流に携わる人は、とりあえずメールアドレスを持っていてほしい。

A メールの件名は端的に、「重要」、「緊急」は最小限に。

B 送信ミスや、受信エラーもありえることを認識しておく。

C 個人宛の問い合わせメールに対する返信は国内24時間以内、海外48時間以内が理想。

    D 環境が違うそれぞれが、どの程度のレベルでネットを活用できるかを相互理解する。

    E 各校教員は、自校の生徒のネットワーク活用に責任をもって対処指導する。

 このあたりは、ASEPにおいては比較的良くできていると私は感じます。

 

4.まとめ

 こうして改めて考えてみますと、柔軟性はコーディネート力によるところが多いのに対して、継続性は引率者それぞれが意識することがより重要なのではないかと感じられます。また、全体をコーディネートする私のような役どころはあくまでも縁の下の力持ちであることも再認識できます。そして、さまざまな事情をお持ちの中で、参加された皆さんがそれぞれに熱い思いを持って訪台されたことが、何よりもASEP寄与していることは言うまでもありません。

来る2010年度も、私たちの国際交流活動がますます発展できますように、私もさまざまに力を尽くしていけたらと考えています。

以上、格調低い乱文で失礼しました。