学生参加の国際交流学習と英語教育
日本福祉大学 影戸 誠
makoto@kageto.jp
Asian Students
Exchange Program
2009年12月24日より30日まで、6泊7日国際福祉開発学部3年生4名と、そして90名の大学教員、高校生、大学生、教育関係者からなる代表団と共に、台湾高雄市主催で開催された国際交流学習イベント「Asian
Students Exchange Program 」に参加した。
学生の活動
・異文化理解・ホームステイ体験
家庭や、大学のホテルに滞在し、現地の人々との交流を通して、台湾の文化歴史を体験する。今回は2.28記念館(台北)などを訪問し、台湾における民主主義について学んだ。また、台南など訪問し文化遺産にふれながら歴史と国民性を知っていく。
・協働プレゼンテーション作成
ネゴシエーションの為の英語を活用し、現地学生とグループを作り、テーマ「Saving
Our Future」にそって12分間のプレゼンテーションを作成する。訪問前にコンセプト、スクリプトなどをネットワークを通して交換し、現地で最終的な調整を行う。しかし、今作業が実際一番時間をとる。
日本福祉大学の学生たちは、日常的なコミュニケーションを確実なものにするために学習環境デザインと、避けることのできない災害に対して、テクノロジーの活用と、国際的なボランティア編成を提案した。
ASEP当日の発表
中学生チーム、高校生チーム、大学生チーム約20チームが発表、それぞれに見事なプレゼンテーションを行った。英語レベルも「伝えるための英語」が駆使され、聞き手に十分に伝わるものであり、プレゼンテーションが聞き手の理解を読み取りながら、インタラクション、アイコンタクトをとりながら展開された。
ASEPでのパーティ
各国から相互理解のため伝統的な踊りや現代的な音楽踊りの交換がある。
AKB48?を歌った立命館中学高等学校は大人気であった。日本からはその外、日本福祉大学の学生による「よさこい踊り」、南山国際高校の西先生によるサックス演奏などで盛り上がった。中でも台湾鳳山高校のヒップホップダンスや、インドネシアの民族舞踊は圧巻であった。
英語活用から見たASEP
英語が様々な場面に日常的に使われている感覚をもった。これまで学習の対照であったり、「英会話」を試すような場面設定として国際協働プロジェクトはあったが、各国のコミュニケーションを意識した発信方の英語教育の成果であろうか、だれもが,気楽に、交流の場面、ネゴシエーションの場面、オフィシャルな発表の場面で英語を「共通言語」として使っていた。
世界から情報を得る手段としてのインターネット、英語の役割もあるが、これからは、ともに仕事をし、自分達の生活を改善していくために日常的な交流を進めるための英語に焦点が当たるだろう。
学生たちにとっては海外の人を迎え、交流する英語から、2,3年後の将来、世界の様々な知見をもった仲間とともに「仕事」をしていくための英語となっていくように思える。
国際福祉開発学部の学生
1週間のあいだ、小学校のEnglish Townでの参観、台南での文化理解、なによりも毎日遅くまで義守大学の学生とともに英語プレゼンテーションに取り組んだ。
「ネゴシエーション」の英語が彼らにとっては今回のテーマだったが、「ばっちり」活用したとのことだった。実際に使え、タスクベースな国際協働プロジェクトの中で、確実に成果を上げたようである。
特に、教員を目指すものにとっては、他国の小学校から始まり、力を入れている英語教育や職業高校を含めた台湾、インドネシアの英語の運用能力に触れることができた事は大きな収穫であったように思われる。
今後の学部教育との連携
1月8日には今年度2010年度のWorld
Youth Meeting に向けた取り組みが始まる。世話をするロジスティックな役割から、日常的な連携をとりつつよりいいものに作り上げていくことが期待される。丁寧な、くどいほどの英語学習を積み重ねつつ、「あっと感動できる」活用の場を同時にデザインしつつ、CALL教室や、インターネットという「音」や「コミュニケーション」に強い機能を活用しつつ推進して行きたい。
ユネスコ憲章(1946)「戦争は人のこころのなかで生まれるものである。 人のこころのなかに平和のとりでを築かなければならない 」は名言である。これらの精神を尊重しつつ、携帯電話もインターネットもなかった当時とは異なる、通信環境グローバル化が進んだ現在の国際交流にふさわしいイベントとして、ASEP,WYMの今後と考えたい。