他国のプレゼンテーション
大阪府私立羽衣学園高校 米田 謙三
今回は、最初に中学校と大学が並行して実施された。後、高校のプレゼンテーションが大学のあとに中学生の参加者も戻ってきたところで実施された。中学は、会場もそんなに大きくなく、聞き手との距離も大変近くいろいろと細かいプレゼンテーションを効果的に実施することができた。大学・高校の会場は階段上のホールで、大変広く、発表者の表情や小さな写真や文字は後ろからは少し見にくいくらいであった。発表時間は入退場を含め15分ということで、内容もコンパクトにまとめられ英語を母国語としない聞き手にも適切な長さであった。もちろんこれまでのワールドユースミーティング、ASEPで取り組んできたことがさらに進化しているように思えた。
特に今回インドネシアの中学生と台湾の中学生がコラボして実施したプレゼンが素晴らしかったのでそのポイントを少しまとめてみた。
○導入
会場をうまく利用して歌、劇、ロールプレイング、ユーモア、衣装、仮装、小道具を使い内容へと入っていった。この部分で会場の雰囲気をつかんでいた。
○ファイル内容
評価が高かったのは、文章ではなく、語やフレーズをうまく4行程度に 提示し、言葉でしゃべりながら画面上の情報をうまく補っていた。もちろん図表・写真も活用し、コンパクトにまとめられていた。構成も「本論」の論理的順序による提示が的確で、まとめ・目的の再提示・課題もきちんとが述べられていた。
○話す力
今回私が一番高く評価したことがこの話す力であった。
メモなど一切なく、自分のことばで、ゆっくりとしたスピードで聞き手にとても聞きやすく、ポイントではきちんと強調もされ、声の大きさや高低や男女の声も適切でマイクもうまく活用していた。会場が大きくなかったのでそれぞれの発表者の迫力も感じることができ、聴衆の表情をうまく意識しながら間(ま)もうまくとっていた。アイコンタクト、フェイスコンタクト、身振りもきちんと入れ、ロールプレイや寸劇も恥ずかしさも一切なく自信をもって行い最初から最後まで聞きやすい見ていて安心できる発表であった。
まとめ:聞き手の関心を喚起するような話し方を考えていくことの必要性を改めて感じた。ただこれにはやはり経験が必要なのだと思った。内容がよくても聞き手に理解してもらえなければ意味がない。また英語のレベルも中学生であったが高校生・大学生でもまずこのあたりからスタートして経験をすんでいくといいと感じた。初めての参加校には素晴らしいモデルになったと思った。この話し方をポイントにすると今回の中高大の発表で大きく見てみると日本がやはり少し弱かったと感じた。これはインドネシアや台湾・韓国の参加校では「会話力」の強化を徹底して行っていることも一つの要因であると思われる。これには社会的背景も関係するのかもしれないが、日本の学生はまだまだ「何とか自分のパートを覚え」て「自分のパートを演じ」で「他のパートにも完全に参加しきれていない」ように思えた。
もちろんICTをうまく活用して自己を表現する力を身に付けることがこれまでの経験を通してできてきたことも確かである。各校の発表から本番の発表に至るまでの、参加者同士のコラボレーションでの苦労も感じることもできた。たださらに日本グループが、力強く、面白く、聞き手が安心して聞ける「話す力」を身につけるためには、やはりこのような舞台で自ら発表する経験、他チームのプレゼンテーションを観る経験というような実践をもっともっと積むことが必要なのだとあらためて感じた。
あとあらためて日本国内での英語の授業の中でうまく段階的に指導していく必要も感じました。
1) 英語でプレゼンテーションするための表現の学習、発表場面の提供。
2) 英語の明確な発音の指導、内容を聞き手に伝える表現。
3) 豊かな英語で聞き手に共感させる表現。
4) 発表者に対してきちんと批判的に意見を述べる表現。