鳳新高級中学(台湾)、LabSchool(インドネシア)、南山国際高校(日本)のコラボレーションの実際

 

 

南山国際高等学校 西 亮

       

 

 

1.鳳新高中、Labschoolとのコラボレーション概要

 10月後半、パートナー校が決定。鳳新高中、Labschool、南山国際高校の3カ国。

 11月中旬、プレゼンテーションのテーマが決定。テーマは森林破壊。

 12月前半、Joinnetを使ってオンラインミーティング。インドネシア急遽参加できず。

12月中旬から出発日まで 日本側担当のPPTファイル作成、プレゼンテーション練習

1223日 台湾へ出発、飛行機の機内、ホテルでプレゼンテーション練習

1224日 生徒のみ学校訪問、共同のスキット練習

1225日 午前、鳳新高校にて3校でYouth Culture Forum、教員も参加。

      午後、生徒授業参加後、2時間プレゼンテーションの打ち合わせ

1226日 プレゼンテーション大会当日

 

2.テーマ決定から台湾へ出発直前まで

 パートナー校が決まってからテーマ決定までは、台湾側の教員の調整でうまく事が進んだ。しかしそのテーマをどう具現化させて、共同でプレゼンテーションを行っていくかに関しては、スケジュールがなかなか合わず、思うように意見交換をすることができなかった。11月後半、台湾側に余裕がある時期に日本側が期末テスト期間、やっと調整がついた12月前半のオンラインミーティングには急遽インドネシア側が参加できず、12月中旬のASEP直前には台湾側がテスト期間。教員同士の連絡をもっと頻繁にとるべきだった。そのためにも私自身の英語力をさらに伸ばさなければならないと実感した。また本校も教員一人ではなく、もう一人、英語活用能力、コミュニケーション能力のある教員仲間に参加をうながす必要を感じた。

 125日にJoinnetという台湾側が提示したシステムを利用してオンラインミーティングを行った。念のためにSkypeも非常用として準備しておいた。以前は技術的にも語学的にも敷居の高かったことであるが、一昨年、昨年と経験を重ねるにつれて、私自身の苦手意識も少なくなり、生徒2名とともに楽しくミーティングに参加できた。時間は約1時間半。前半は参加生徒の自己紹介。台湾でこれから実際に会う仲間の顔を見て、声に触れることで、本校の生徒は参加への意欲をさらに高めることができたようだ。後半は教員中心にプレゼンテーションのテーマ、それぞれの役割、時間配分などについて意見交換した。インドネシアチームもミーティングに参加する予定だったが、急遽参加できなくなった。

 オンラインミーティング後、1221日の終業式まで、本校ではほぼ毎日プレゼンテーションの準備に取り組んだ。森林破壊に関して世界ではどのような問題が生じているか、その対策など生徒ともに話し合った後、日本では具体的にどのような問題があるか意見を出し合った。ありきたりの事象ではなく、自ら興味関心を持ち続け、探求できるテーマにしようとアドバイスしたところ、一人の生徒が人間の住む場所にクマ、鹿、いのししなどの野生動物が山から下りてくるようになった現象に目を付け、それと日本の森林破壊の関係を発表しようと言い出した。日本側担当部分のトピックが決まり、インターネット、新聞記事で調査を開始し、知識を深め、発表したい内容をしぼっていった。

 いきなり画像やアニメーションを使ってスライドを作るのではなく、まず言いたいことを日本語の原稿にしてまとめた。それを生徒が英訳し、英語教員にも読んでもらった。最後に必要な画像を使用したり、アニメーション効果をつけたりしながらスライドを作成。使用したデータが本物であるかどうか、もっと聴衆をひきつけるような内容をいれることはできないか、私からもアドバイスをし、終業式までスライド作成に時間を費やした。生徒帰宅時間の1時間前にとうとうスライド、原稿が完成し、たった1時間だけ、プレゼンテーションの練習をした。モノをつくるというのは厳しい作業である。プレゼンテーションの練習時間に十分時間が割けるように、計画を立てるべきだった。短い期間ごとに目標と期限を設定し、一つ一つやり遂げていくという方法を次回は採用したい。

 

3.台湾到着からプレゼンテーション前日

結局、出発日までプレゼンテーション練習がほとんどできなかった。機内でも原稿読みをするように生徒に指示し、1日目のホテルで夕食後1時間ほどスピーキング練習をした。

24日、25日の二日間はパートナー校である鳳新高級中学が準備したスケジュールで交流がすすんだ。24日は教員、生徒別行動で、生徒は鳳新高中の授業に参加。プレゼンの最初に行う3カ国合同のスキットを練習したようだ。25日は教員も鳳新高中を訪問し、朝礼時、本校生徒がパワーポイントを用いて南山国際高校の紹介を英語で堂々と行った。朝礼後、台湾、インドネシア、日本の三カ国によるYouth Culture Forumが催された。やはりパワーポイントを用いて、それぞれの国の高校生から見た自国の文化を発表。ディスカッションとまではいかなかったが、それぞれの国の実情を知ることができ、有意義な時間を過ごすことができた。26日がプレゼンテーション本番なのだが、プレゼンテーションの調整、練習に割かれた時間は2時間。全体通し練習を一回行い、時間配分を確認し、英語教員である台湾側のコーディネーターからスピーキング、アイコンタクトなどのアドバイスを受けた。15分だけ各国の練習に時間をもらい、(本来は暗記すべきだが)原稿の高さ、目線、読むスピード、抑揚など私からアドバイスした。再び全体通し練習を行い、あっという間に2時間は過ぎてしまった。台湾、インドネシアの教員も日本の教員である私もプレゼンテーションの重要性に対する気持ちの持ち方はきっと同じだと思う。ただ台湾のホスト校としては、プレゼンテーション以外の交流活動にも力を入れなければならなかったのであろう。次回は、全てお任せではなく、ホスト校でのスケジューリングにもある程度意見を出す必要があると感じた。難しいことだがこれも国際交流の一つだ。

 

4. 1226日プレゼンテーション大会当日

聴衆からは何も問題なく進んで見えたであろうプレゼンテーションであった。実際はプレゼン後半に行うはずであったスキットを省略し、少々、全体の流れがうまくいかない部分があった。本校の生徒がスキットのナレーションを担当予定であった。制限時間の関係で、舞台裏で生徒同士で決定を下し、スキットを省いたようだ。残念だが予想していなかった問題への対処として、生徒達の苦い思い出にもなったろうし、物事を進めていく術を実体験として学んだのではないだろうか。

本校の生徒に対しては、初めての体験でここまでよくやったと褒めてあげたい。原稿を見ながら読んだり、インタラクティブな部分がなかったり、反省すべきところは反省し、次への発展に生かしたい。ASEPの良いところは他の発表から多くのことを学べることである。きっと生徒自身、多くのプレゼンの中から自らに足りないこと、さらに発展させるべきことを見出したのではないだろうか。

今回のコラボレーションは、それぞれの国が準備したPPTファイルを直列に並べて、順番に発表。最初と最後のまとめをスキットや歌で共同で行うというスタイルであった。次回は、お互いの調査、研究、意見が入り混じった本来の意味でのコラボレーションに挑戦したいと考えている。

 

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