22.システムサポートの面から
北陸情報コミュニケーション教育研究会 林 道雄
ASEPやWorld Youth
Meetingの大きな特徴として、CSCL(Computer
supported collaborative Learning)が挙げられる。北陸情報コミュニケーション教育研究会(HICE)では、2001年よりこの2つのプロジェクトにおけるネットワーク関係のサポートや記録のアーカイブなどを行うとともに、国際交流のためのネットワークの有効な活用法について取り組んできたが、ここでは、ASEP2005について、少し書いてみたい。
インターネットには、メール、掲示板、チャット、など、様々なツールが存在し、さらに近年はブログやSkypeなどの新しいツールも登場している。こうした変化の中で、これらのツールを、長所と短所を踏まえ、いかに組み合わせて有効に活用するか、が、重要である。これまで、ASEPやWYMでは、メーリングリストをネットワークによるコミュニケーションの中心的ツールとして位置付け、参加者全体およびICP(International
Collaborative Project)毎にメーリングリストを作成し、参加者同士の自己紹介やプレゼンテーションの打ち合わせ、議論、他のネットワークツール上で決まった事項の告知、などに活用してきた。メンバーはクローズドとし、ネット環境も様々な大多数の生徒が参加しているということから添付ファイルやHTMLメールは原則として不可に設定した。また、投稿されたメールをWebPage上でアーカイブし後年の参加者も参考に出来る様にした。このメーリングリストの問題点としては、添付が出来ないために参考資料やpptファイルを配付出来ない、HTMLメールの設定の解除法が判らずうまく送信出来ない、参加校によっては自分がメールを送信出来るパソコンが限定されてしまうために不便である、などが挙げられる。また、メーリングリストシステムや投稿ルールの告知の不徹底などにより、同一人物がメーリングリスト上でメンバー一人ひとりに同一内容のメールを送信したり、英語版のメーリングリストに日本語や中国語で書かれたメールが流れたりという場面も見られた。ネットワークツール全体で見ると、議論や打ち合わせは、抵抗感が少なく手軽な掲示板やチャット、ブログ、相手が見えるTV会議などを使い、その内容の告知はメーリングリストで、という傾向が強く、また、盛り上げ役のコーディネータが存在するICPほど活発なコミュニケーションが行われていた様である。他のネットワークツールも同じであるが、特にメーリングリストを利用する際には、議論の場なのか伝達の手段なのか、といった目的を明確にし、最低でも定期的に状況を投稿するなどのコーディネータによる積極的な利用の働きかけが必要である様に感じている。メーリングリストは、自分の意思を文章に整理して伝える、時系列の記録として残せる、という点で充分に存在価値のあるツールであると考えている。
現在、次への新たなツールとして、CMS(Contents
Management System)の活用を研究している。CMSは、会員制のモブログやファイルサーバの機能を持たせることが出来、パソコンは勿論、携帯電話からの閲覧や画像などの添付ファイルを含めた投稿も可能となる。近年、ブログは親しみ易いツールとして生徒や学生に浸透してきており、日常的なデバイスである携帯電話と連携する事で、参加者のアイディア次第で柔軟に活用出来る新しいコミュニケーションツールとして充分に力を発揮してくれると期待している。