19.学校訪問について

大阪市立市岡商業高等学校 堀内 泉

19.1 はじめに

2005122227日、台湾で開催されたASEP2005--6th Asian Student Exchange Programに一般参加という形で参加させていただきました。初めての参加でしたが、噂以上の内容で、たくさんの新しい出会いがあり、多くの刺激をうけることができました。ここでは、23日に実施された、学校訪問を中心にレポートさせていただきます。

 

19.2       中山高校

 日本全国を襲った寒波や機体トラブルのため、22日に高雄に到着できたのは、沖縄グループと大阪グループのみで、少しさみしく、そしてとても不安な一日のスタートでした。バス車内も空席が多く、途中、大学生を国立中山大学に送迎した後は日本グループのほとんどいない状況になりました。自己紹介などで親睦を深めていくうちに、本日最初の訪問先である、高雄市立中山高級中学に到着しました。まさに、熱烈な歓迎ぶりで、とまどいさえ覚えました。

 中山高校は、1990年に孫文を記念して設立された比較的新しい学校で、現在の校長先生で6代目、高雄市の中ではもっとも広大な敷地を有する学校です。クラス数は12年が15クラス、3年が16クラスで、生徒数は男子が803名、女子は917名の合計1,720名。そのほとんどが大学に進学しているそうです。

 会議室でのプレゼンテーションの後は、校内を見学しました。調理実習で作ったお菓子をいただいたり、工芸の授業で制作した作品を鑑賞したりしました。その他、いくつかの芸術系の実習室を回り、天文の教室に案内されました。そこには、大きな天体望遠鏡とプラネタリウムのような器材が設置されていました。聞くところによると、天文学がこの学校の重点科目だそうです。進学校でありながら、さまざまな分野の科目が設定されており、また、受験科目に特化することなく、クリエイティブなものが多いような印象を受けました。

 その後、新しく完成したドーム式の球技場に案内され、生徒からコーラスやダンスのパフォーマンスを披露されました。クラスや仲のよいグループでオリジナルのTシャツやトレーナーを作って着ることが流行しているそうで、教師もお揃いの物を着ていたりして、とてもアットホームな感じを受けた学校でした。

 

19.3 福東小学校

 名古屋グループと合流し、記者会見、昼食の後、午後の訪問先である高雄市立福東國民小学校へと向かいました。この学校は1975年設立、1997年には全国に先駆けて英語教育を取り入れ、2000年には南部地区の特別教育センターとして、また英語教育教材開発センターとしての働きを併せ持つ、いわば英語教育のパイオニアともいえる学校です。

 まず、校門を入ってすぐに驚いたのが、壁面に時計が3つ掛けられていて、それぞれ台湾、東京、ニューヨークの現地時間を表示していたことです。また、校内の案内表示が、すべて中国語と英語の2カ国語で表記されており、学校生活のあらゆる場面で英語教育を実践している印象を受けました。

 この学校の英語教育で特に注目すべき点は、いわゆるバイリンガルクラスが開設されていることではないでしょうか。全市からの希望者を入試で選考し形成されるもので、英語によるコミュニケーション能力の育成を目標にしているそうです。授業は原則として英語で行われる、児童も理解しているというから驚きです。

 児童から質問を受け、こちらがそれに答える方式の交流や、児童によるリコーダーの演奏などのプログラムを終え、最後は影戸先生をコーディネータとして、「各国ICT、英語教育の現状」をテーマにシンポジュウムが実施されました。

 

19.3       おわりに

 ASEP研修旅行を一言で表すと「衝撃」です。すべてにおいて想定の範囲をはるかに超えていることばかりでした。生徒の引率がないという気楽な立場であったにもかかわらず、プレゼン大会最後のリフレクションビデオでは感動で目頭が熱くなりました。今回、このような形での参加を許していただいた影戸先生、熱心に誘っていただいた池田先生をはじめ、お世話になったすべての方々に感謝し、次回は何らかの形でお役に立つことができればと思います。