プレゼンテーションが情報教育の要

名古屋市立若宮商業高校 影戸 誠

        makoto@kageto.jp

http://www.kageto.jp

 

1 1992年からインターネットの教育利用へ

DOS画面で東京へ

1992年一台のDOSプロンプトの画面から東京のプロバイダーへ接続、海外へメールを送っていた。中国、アメリカとの交流であったが、

なかなか返事がこない、学校内に環境が相互に整っていなかったのだ。

返事のこないインターネットに生徒は「インターネットってなんか不便」。事務からは「アメリカのパソコンにつないでいるのだから

アメリカまでの国際電話を使っている。」とのお小言。

1994年 100校プロジェクト参化、始めて学校でwebなるものを体験、64kの専用線。遅くとも十分感動したことを覚えている。

以下はその後のインターネット活用の歴史である。

年代

内容

備考

1992年

インターネットを活用した交流授業開始

3200bpsDOSプロンプトから

国際コミュニケーションコース設立

1994年

100校プロジェクト参加

64k専用線

 

オーストラリア・ニュージーランド研修

事前に電子メール交流

 

1996年

アジア高校生インターネット交流スタート ネパール、韓国、タイなど

以後現在に至るまで継続中

 まだまた校内では「異端児」扱い

1997年

Inet97国際大会で発表

 

1998年

松下視聴覚教育研究財団 「森戸賞」受賞

職員研修本格化

「認知―>協力の時代」

1999年

読売教育賞最優秀賞受賞

「インターネットを機軸とした学校作り」

ワールドユース開始

ソウルにてアジア高校生交流開催

ジンバブエ、パプアニューギニアを含めて

校内でネットワークの活用活発化

2001年

ワールドユース 第3回目開催

 

2 全国の動き・教員の動向

1995年大阪教育大学越桐先生よりのデータ。今のデータと比較してみるとその動きがよくわかる。高校中学でわずかに17校しかホームページ

はなかった。


 


 


 


 


3 連携の形・なぜインターネット?

インターネットの教育利用は世界同時進行の流れの中にある。インターネットは学校の高い塀を突き抜ける。生徒には原則エネルギーがある。

そのエネルギーが対応力のない教師・学校の中で窒息しつつある。生徒の魂を揺さぶり,瞳を輝かせるにはインターネットしかないと思った。

新しい指導要領がでて「個を大切にした教育」と言った提言が出たことがあったが、学校は変わらなかった。教員たちの「ちょっと変えれば

何とかなるだろう」といった安易な受け止めで終わってしまった。

このような状況にあって、授業の形、コンピュータが入り生徒中心に展開せざるを得ない授業システムが必要と思った。ネットワークを通して

外部の風を学校に、教室に持ち込みたかった。

 

日本語ベースの国際交流

参加・・ アメリカ ハバーフォード大学、ハワイ大学、バンダービルド大学日本語コース履修学生 西陵商業高校 

テーマ・・理想の学校を作る

ネットワーク上で共同作業・・共同ホームページつくり、webチャット、Cu-SeeMeなど

プロダクトの重要性・・共同ページを作ることによって、歩みを相互に確認できた。

 

 

 

 

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商業高校間(トレードシュミレーション)

商業高校間の授業「国際貿易実践」の中で

しかしやっている学校は500近い商業高校の中でわずかに4,5校

http://210.235.197.11/seiryo/

パスワード test1

企業パスワード 企業名+try

 

国際連携 アジア高校生交流

1996年よりアジアの高校と連携を取りながら、日本・ソウルなどでアジア高校生インターネット交流を開催。これまでの参加国 ネパール、

タイ、韓国、台湾

電子メール交流の後、直接ソウルなどで「会い」、ホームページつくり、プレゼンテーションを行う。

http://www.japannet.gr.jp/w2000/tw/index.html

 

ワールドユースミーティング

ワールドユースミーティングは国内の中学・高校・大学と連携し、海外の高校とネットワークを通して交流を深めようとする企画である。

世界7カ国と連携を深めながら、1995年よりインターネットを活用した国際交流プロジェクトを推進している。

ネットワークで事前調査、アンケートの集約などの準備、日本で直接会い、共同でプレゼンテーションをおこなう。日本語海外高校生・

中学生がチームを組み、発表をおこなう。

オーディエンスとの交流を意識したプレゼンテーションへと成長している。

 

 活用したネットワーク・・メーリングリスト、web(リアルタイム配信),PPT

交流開始 テーマを決めメーリングリストを立ち上げる (例) インターネットを活用した授業

アンケート調査(各国にて)

中間プロダクト アンケート結果、来日メンバーの紹介ページ、日本側打ち合わせの画像、動画に

よるメンバー紹介

来日(フェース to フェース)

 ホームステイ、学校訪問プレゼンテーション共同製作

最終プロダクト

 ワールドユースミーティング当日の発表、作成したプレゼンテーションファイル

 

 

 

 
振り返る 感想をWEBにアップ、来年のイメージづくりをおこなう。次年度参加生徒の教材 英語教材

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海外との連携

     韓国 

韓国は教科書問題で来日が次々キャンセルされる報道がこの夏目立った。そんな中われわれの交流校新亭高校はやってきてくれた。

新聞社のインタビューに引率教諭ハン先生は答える。「教科書問題は一時期のことです、われわれはこの友情を97年から培ってきました。

また99年には同様の交流を私の学校で開催しました。一時期の政治的問題で友情を失うわけには行きません。」

     台湾

台湾には国立中山大学を中核するネットワーク組織がある。中学校、高校、大学の連携でインターネットの教育利用を促進している。

96年より教師間の交流があり、1998年よりこの種の活動に参加してくれている。今回も14名の高校生・中学生とともにやってきてくれた。

 

     ドイツ 

ドイツも1998年より交流を開始している、日常的な電子メール交流を行っており、アニュアルイベントなったワールドユースミーティング

に照準を合わせ来日してくれた。

 

     シンガポール、ジンバブエ、オーストラリアなど

ワールドユースミーティングは毎年継続して行われるが、決していつも同じ国と言うわけではない。今年度のように招待講演を

新しい開拓の意味で行うこともある。ジンバブエの状況は生徒参加の1998年よりその報告がいろんな形をとりながら現在にまで至っている。

 

中学・大学・高校の連携

英語教育の立場から見ると「英語嫌い」の作られる中学と連携して今回の取り組みを行いたいという希望が大学側よりなされた。

 

プログラム
「新しい国際交流」「新しい英語教育」powered by Internet!

主催 ワールドユースミーティング実行委員会 情報コミュニケーション教育研究会

(水越敏行教授代表)

後援 名古屋市教育委員会名古屋市ほか

基調講演1 シンガポールにおける英語教育

日本と海外生徒による共同 プレゼンテーション午前の部(発表1台湾+日本・発表2台湾+日本・発表3) 

基調講演2  国際交流への私の提言

 関西大学教授(大阪大学名誉教授) 水越敏行 先生

オーストラリア オーストラリア キャピタル テリトリ(キャンベラよりの講演)
  「オーストラリアにおける情報教育・日本語教育」

共同プレゼンテーション 午後の部
  (発表4台湾+日本中学生・発表5 ドイツとの交流 日本高校生 

Tea Break ミニコンサート  

リフレクションビデオ 中京大学(宮田研究室)

 

今年のテーマは「新しい英語教育」「新しいインターネット」であった。

 生徒たちは事前にアンケートを送りあい、データの提供を相互に行う。

     コラボレーション

ほぼ4日前に日本に海外高校生・中学生が到着。プレゼン資料をともに作る地域にホームステイ。学校で交流を行うとともに、

テーマにそっと来日後、プレゼンテーションファイルを作る。

この時点で、「戦い」も起こる。泣き出す生徒もできてくる。しかしそれも新しい段階に進んだのだと私たちは思う。

     ワールドユースミーティングでのプレゼン

会場に集まった320名の前でプレゼンを行う。

 ただ単に一方的なプレゼンではなく、今年の大きなテーマとなった、「インタラクティブ性を重視したプレゼンを行う。

     帰国後の事後交流

電子メール活用により、帰国後相互の感想を送りあう。また、それぞれに感想を書きあい、これを報告書として印刷すると同時に、

相互の英語教材として活用する。

テキスト ボックス: I was really surprised when we talked about content of presentation. Taiwanese students granted our all request. We changed content many times. And each time Taiwanese students understood our opinion. And they helped me a lot. When I made power point at night, they said to me many times” Are you O.K? Can I do anything for you?” I was so impressed their kind heart and consideration. I was sure we worked together in cooperation and share the time

     webの活用

情報をすべてwebで発信した。海外参加者と連携をとるにはメールだけでは不十分で

、どんな様子で準備をし、どんな会場を使うのかなど、必要な情報を特に「画像を重視」

して掲載していった。

 

 

http://www.japannet.gr.jp/w2001/

 

プロダクトが教員を育てる

プロジェクトの進行に当たって教員は多くの仕事をこなさなくてはならない。

・メーリングリストが育てる

教員用メーリングリストのチェック書き込み、具体的な動きをサポートしなくてはならない。毎日30通前後のメールがやり取りされる。

これらを読み返信を送る。読み,理解しないと具体的な役割分担が処理できない、また生徒への指示もできない。

このような流れの中で教員は他の学校の教員との意見交換、コンピュータリテラシを身に付けていく。

 

     生徒指導

プロジェクトに参加する自校の生徒はもちろんのこと他校の生徒にも配慮し、推進する必要がでてくる。自分たちの仕事

プロジェクトの遂行がいろんな学校の生徒を揺さぶり、成長させていることを知る。

 

4 肉を切らせ骨を断つプレゼンテーション

プレゼンテーションは難しい。しかし多くの成果をもたらす。

・発信は社会性が育たないとできない。

 情報の整理

混沌とした意識ーー忍耐強い情報収集ー整理作業 ーー体系化  価値ある情報の創造

 社会性

発表の価値を知るーー発表対象を分析するーー発表の勇気をもつ − −自分にとっての意味を知る(自分育て)

 発信の技術

効果的な手法の習得、話法、展開方法、(フリーズに対する危機 管理)

 発表に対する支援者の意味

教師の助けを尊ぶーー友人の助けを尊ぶーー内容 を深める 批判批評ーーそれを受け入れる勇気(肉を切らせて骨を断つ)やったという実感

自信を持つ

人前で発表できた 内容が整理できた 新しい価値 ある情報が身に着いた 何よりもまとめ発表するという方法の習得 新しい自分との 出会い、自己変革への確かな手ごたえ、

フィードバックが育てる

「自分の姿は自分で見えない」、聴衆者 からのフィードバックによって、更なる自己変革、俺ってできるかもという自分に対する愛情、

他者への愛情

他者が「自分育て」をしようとしているときに、優しく、そして時に厳しく helping hand を差し出すことができる。

 

生徒にとってプロダクトは重要である。まよい、苦しみ葛藤する、その結果プレゼンテーションファイルという産物ができあがる。

 産物ができあがるだけではないそれを人前で発表し、観衆の拍手や表情を通して評価を得る。知識、技能を全開させて産物を創り出す

、そのプロダクトに対して評価を得たとき、 生徒自身が「私」が大きく育っている。

育った「私」は今までとはちょっと違った自分であり、信じられる新しい自分である。

表情は明るくなり、自信にみなぎる。

 情報を得る、技術を身につけるーー>自分との関わりでそれを表現する(自分育て)ー ー>発信する(表現する)――

評価を得る(他者を鏡としてあたらしい自分の姿を 確認する)

 新しい自分の上にたって次の時間をむかえる。

創造の喜び、成長の喜びと要ってしまえばそれだけだが、その要素があまりにも明確 になっていなかったのでは無かろうか

このような展開が日常的に生徒や学生に対して与えられることが必要であろう。

 

5 教科「情報」総合実習の大切さ

教科書で歴史、仕組みなどの「科学的な理解」を経て「総合実習」へと展開されるべきであろう。

このプロセスを経て始めて、「情報社会に参画する態度」が見についたといえる。

 何よりも、プレゼンテーションは「社会性」を育て「コミュニケーションの醍醐味」を生徒にあたえ「新しい自分」へと導いていく。

情報収集―情報のまとめー発信

情報活用の実践力 科学的な理解 参画の態度

これらのキーワードがこれまでの情報教育の中で与えられてきたが、一番かけているのは情報発信、相互評価である。

 個々の作業――集団で作業――他校との共有・連携――世界で評価

教科「情報」 大丈夫か?

生徒自身が価値を見つけることのできる教科として

名古屋市の場合、電子メールの体験者が半数以下という状態。またコンピュータの操作能力だけが「情報教育」と勘違いされている。

ITICTは明確に区別されなければならない。

実習時間50パーセント,30パーセントといった「好ましい実習」は実現できるのか?

名古屋市では一校1,000万程度のコンピュータ教室の整備は進む。担当者から「どうやったらいいのでしょうか」の質問が寄せられる。

 「箱」はどんどん整備されつつある、しかしどのような方向性で「箱」を生徒と共に

使いこなすかの、さらに協議されなくてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

教科情報の落とし穴

その1 ワードやエクセルだけを教える

教師はインストラクターではない。自動車学校の先生を一般の学校の先生と同じだと思う人は少ない。学校は情報リテラシーだけ

を扱うのではない,それよりも「生徒が育つための情報活用の場」を設定し体験させてやることが大切。そのためには

「ネットワークを生活の中で生かす先生」が必要。

その2 聞くばかりの情報教育

 「科学的な理解」に走り、「ビットとバイト」の計算、ファイルの種類、歴史だけを書き写すだけの授業になってしまわないか、

本来の情報教育「コミュニケーション」によって相互共存的な「臭覚」を身に付けさせる、「情報社会への参画の態度」を身に付けてほしい。

 かつてオーラルコミュニケーションという教科が英語であった、英会話中心の授業であるべきものが「受験のための英文法」

に変わった学校が多くある。

 キーボードを机の脇にずらし,ひたすらノートをとる「情報」の授業にならないことを願うばかりである。

 

最後に

 新潟大学 生田孝至先生 「教科情報の学習の流れは、知識を伝えるだけでなく、教師の願い、心を伝える、それが行為行動となって現われるという事

でやらなければ、教育はだめになってしまう。端的に表現すれば 情報―>情意―>影響ということだ。新しい教科だからみんなで情報を出し合って、

作り上げていかなければならない。」

  

 教科情報担当の教諭たちはネットワークという新しい手段を通して、「教師間連携・学校連携」の中で学校教育そのもの揺さぶる

「新しい教科」にしてほしい。

 「教師を守る学校教育」から連携を元とした相互教育の窓口がこの教科にはあるとおもう。

 これまでプロジェクトに多く携わってきた、生徒・教師を育てる教科情報の「総合演習」にすべての成果を凝縮すべきと考える。