ASEP現地レポート −「バーようこう」の記録から2−

 

(株)内田洋行・業務統括部

市村 信昭

 

はじめに

 現地では参加各校の先生・学生・生徒が相手交流校ごとに活動するので一同に会すのはプレゼン本番日くらいである。そのため、いつの頃かサポートメンバーとして参加している私のホテルの部屋に夜な夜な先生方が集まり、その日の出来事や印象、明日の予定確認から日頃の指導のアドバイスまで、小から大までの教員が入り混じってさまざまな情報共有をするようになった。

そして、この集まりは誰ともなく「バーようこう」と呼ばれるようになった。

 これはその日一日を終えたメンバーの記録である。

 

3日目のレポートから 

 久々の再会を公式歓迎会で終えた翌日の3日目は、午前中は各先生方がそれぞれの目的を持った行動。協働発表校は相手校に行ってプレゼンの最終の指導、単独参加の先生は学校訪問。

我々は11時のピックアップでナンシン・チェン先生の案内でやっと開通した高雄MRTで国立中山大学へ。

ここ何年かASEPの時期に海外での研究活動をされていたが今年から中山大での活動に足を移されたようでASEPに対する並々ならぬ意欲がお話の端々にでていました。あの何年か前のナンシン・チェン先生と影戸の強力タッグが戻ってきたと実感。

中山大ではいくつかのグループに分かれて、一年生(9月新学期なのでまだ高校生の余韻のある)が英語でのガイド役でキャンパスツアー。道中、影戸先生は高校時代までにどうゆう英語教育を受けてきたかをインタビューされている。「高校の英語コース授業で」、「英語の教育雑誌で」「幼稚園から塾などで」、「小学校から海外のサマースクールへ何回か。そこで英語を使うチャンスで勉強します。ええ、アメリカ、カナダ、英国、豪州、ニュージーランド。台湾では特に特別な事でなく結構人気ありますよ。」と事も無げに返事が返ってくる。

夕方まで、ナンシン・チェン先生のe−ラーニングと遠隔教育とリアルの教室をまとめた「ブレンディッドクラスルーム」のコンセプト説明とデモ。それに引き続き意見交換。サーバもあらかじめ中山大に準備されておりコンテンツもすでに300タイトルはあり実際にイタリア等と実践も開始されている。是非ASEP/WYM参加校グループで継続的な実践を始めたいとの提案があり。色々な意味で10年目を迎えて新機軸がでてきました。

そして、その「バーようこう」の開店。プレゼン指導を終えられた先生もご来店でしたが、意外とはやくお開き・閉店になったのは、10年の時間を重ねてメンバーが歳をとったのか、はたまた、明日の本番をむかえるにあたって気力・体力の温存を図ったのかは皆様のご想像にお任せいたしましょう。

4日目のレポートから

もう何日も高雄で過ごしている感覚になるほど盛りだくさんのイベントと体験をして、今日は本番のプレゼン発表の日です。会場は国立科学工芸博物館の別棟の会場。約400人収容の立派なホールです。スケジュールの関係で中学生のプレゼンは別室で進行。司会の高校生の機転のきいた進行が印象に残りました。

プレゼンの評価については昨年同様、プロフェッショナルである先生方に譲るとして、結果的に日本チームとコラボしたグループが受賞に輝きました。

25日関空出発の日ご両親に見送くられた女子中学生。上手く発表できていたグループの後半に登場して彼女だけ最後に少しつまってしまいました。

発表終了後のステージ裏で泣きながらよしよしと慰められている声が一瞬PAに流れました。袖カーテン越しにも垣間見えました。何度となくこのASEPやWYMで目にしてきた光景です。でも、私にはどうすることもできません。結果を受け止めて自ら次につなげていくしかないはずです。

そして結果発表。

見事受賞しました。受賞でステージに上がった彼女はまた泣いていました。制服の長めの袖で何度も、何度も、涙を拭いながら泣いていました。

フェアウェルパーティーは会場の中庭に特設ステージを設けて、スモークあり、ファイヤーあり、レーザーありの盛大な野外パーティーでした。お馴染み三民の短めのファッションショーに加えてインドネシア生徒の民族衣装を含んだファッションショーもあり、でのっけから盛り上がらざるを得ません。高雄商業の台湾先住民族の衣装での歌と踊りがはじまると、その以外に軽快でダンサブルなリズムに会場もいくつもの踊りの輪ができてクライマックスに達しました。乗せ上手のオレンジ色のシャツを着たASEP参加OBOG学生スタッフの見事な進行のおかげです。

そしてASEPの公式行事は終っていきました。明日以降からはそれぞれが帰途につきます。

あの悔し涙と嬉し涙の両方を一度に味わった女子中学生は初参加のASEPの自分の体験と思い出を関空に出迎えるはずの両親にどのように話すのでしょうか。