国際交流に必要とされる力

大阪府私立羽衣学園高校  米田 謙三

 

1.     国際交流で学生に一番求められる力

やはり 国際交流で一番必要な力は、コミュニケーション能力です。最近 情報機器の学校への普及が進んだ結果として、調べた内容をプレゼンテーションツールを使って発表する授業は、「総合的な学習の時間」や「情報」に関連した授業で数多く実践されています。しかし多くの場合、生徒たちは、発表時に原稿を読んだり丸暗記するなど、観衆に対して真に語りかけるようなプレゼンテーションのレベルには、到達していない場合が多いという声が多い。機器操作のスキルや発表経験の少なさといった問題が考えられることが多いですが、それ以上に発表するテーマ選択や、選んだテーマの掘り下げが、十分できていないことに起因するケースが多いと考えられます。では 本当のコミュニケーション能力を身につける(つけさせる)には どういう力が学生・教員に必要であるのでしょうか。下記で取り上げます。

 

2. ASEPにおいて(教員)

○ネットワーク力(国内・海外の教育関係者との)

協同プレゼンの場合、本当に自分たちが関心のあるテーマをどのようにして見つけさせればいいのか、アプローチのさせ方、そして発表方法など 国内・海外の教育関係者とのネットワークから取得します。交流では、公立・私立や異年齢という立場の違う学校(海外も含めて)が合同で学習するので チームワーク力(柔軟・責任・協調)も必要となります。

     情報機器を活用する能力(掲示板利用、TV会議利用など)

コミュニケーション能力や表現力の育成方法を一段と高める指導法を取り入れることにより、国際化と情報化に対応できる生徒の育成を図ることが可能になります。 

     国語力・英語力 

話し合いや文章表現をする際、「論理的思考」が必要であると思われるので、そのかじ取りに国語力・英語力(海外とのやりとり)が必要となります。 

 

 

3. ASEPにおいて(学生)

    コラボレーション力

 特に海外の学生との場合は、共通のテーマをベースにしてプレゼンをするということが必要なので、世界との交流(国際交流にとどまらない)に対する好奇心や新しい企画・創造に向かう探究心をもち、国を超えて学ぶコラボレーション力が必要となります。

指示まちではなく、自分ですすめていく自律性をもち、またその結果に責任をもつ力、一方で他人に対して働きかけ、巻き込める、チーム内で働くことができる力も必要です。リーダーシップとチームワークをバランスよく保つ能力が必要です。

     情報機器活用能力

国内・海外を問わず 離れた地域との交流には、情報機器を活用する能力が必要です。

○ セルフコントロール力

積極性・柔軟性をもち 状況をいろいろな角度から検討し、的確に判断する力が必要です。

自分のポリシーだけではうまくいきません。 環境の変化やスピードに柔軟に対応する力も必要です。(素早く行う行動力・粘り強く対応する力を含みます)

思考・精神力(自発・自覚力)

広い視野(グローバルな視点)で物事を考え、いつもチャレンジ精神をもち、自分自身で挑戦と努力を持続する力。自ら考え、実行し、成果を出す力。バイタリティ(熱意をもって取り組む)を持っていること。困難に打ち勝つ力。

     好奇心力

世の中にいつも関心を持ち、自ら 知りたい、学びたいという好奇心をもつこと。

現状に満足しない向上心(既成概念にとらわれない柔軟な発想力・従来の思考を変革する変革力)も含まれます。

     基本的な生活習慣力

自己管理力(体調管理など)や礼儀正しさが必要です。逆境に立ち向かうには必要な力です。

     基礎学力

相手のいうことを理解し、また自分のいいたいことや人の意見や考えを相手に伝える力。

これにより 課題形成ができ、解決力も身に付きます。また、海外とのやりとりには語学力が必要です。専門知識も必要になる場合もあります。

○ 経験力

様々な人といろいろな体験をする機会をたくさんもっていること。自分で達成したという経験を多くもっていること。また たくさんの失敗やストレス(壁にぶちあたる)も経験力に含まれます。

 

 4 まとめ

 このASEPは、上記に書いた力を 身に付けていくことが可能な日本でも海外でも例がない企画です。参加学生は、さらに様々な能力を予想以上に身につけたかもしれません。特に 協同でプレゼンテーションするという必要があるので、これからのネットワーク社会で必要な能力であるコミュニケーション能力の向上が自然と身についていきます。 学生たちだけでなく教員も 国内・海外とのコミュニケーション、相手を考えた話し方・内容でのコミュニケーション能力を経験によって身につけた(ている)と思います。