15.国内参加者同士の交流と日本台湾交流に思う

 今回のASEPにおける本校生徒のプレゼンテーションは、本校+福井商業高校+台湾高校(台湾の高校も複数高の混合チーム)というまさに一大コラボレーションチームでした。しかも、別々のプレゼンを個別に作成してくっつけるという形ではなく、サブテーマごとに日台混合の小グループを作り、ひとつのプレゼンを作りあげるという形をとることになりました。そのため、本校と福井商業高校との間の国内交流と本校と台湾生徒の国際交流の二つの交流を同時に深めていける大きな機会となりました。また、本校OG参加者にアドバイザーをさせたことで、高校大学連携と言う側面も取り入れることができました。

15.1 国内生徒間交流

 今回のプレゼン作成に当たっては、日本台湾でそれぞれ300人のアンケート調査を行うことになりました。アンケート実施に当たっては、本校で約120人、福井商業で約180人のアンケートを実施し、それぞれを集計したものを合算するというデータ収集の作業を二校で連携しておこないました。また、サブテーマの分担やスキットに関する打ち合わせなどをMLを通じておこないましたが、準備期間が短かったため、十分な連携にはいたりませんでした。もう少し準備期間があれば、国内の生徒同士の十分な連携作業が取れたと思います。国内での準備期間が短かった分、ASEP本番に入ってからはプレゼンの最終版作成作業を通して密度の濃い交流ができました。

15.2 日台生徒国際交流

 日台の生徒交流に関してもやはり準備期間が短かったため、事前の連携作業が十分におこなえなかったことは否めません。複数のMLが混在したこともあって、実際のプレゼン作成作業が軌道に乗るまでは時間を要しました。しかし、日台の教員同士の短期間での非常に濃密な打ち合わせとメールのやり取りにより、チーム全体のプレゼンのコンセプトを調整し、チーフインストラクターである台湾側の教員に主に指示をだしてもらいました。その後は、生徒間で多くのメールのやり取りがおこなわれましたが、メールの内容としては、お互いのpptファイルのやり取りに終始してしまい、つっこんだ意見交換にはいたりませんでした。しかし、直前までプレゼンに関するメールをやり取りしていたことで、現地に行ってからの交流と意見交換がスムーズに進みました。

 個別の生徒の国際交流に関しては、生徒のレポートを参照していただきたいと思いますが、英語力において台湾の生徒とはがあるものの、生徒たちはあらゆるコミュニケーション手段を駆使しながら、交流を深めていった様子が伺えます。そして、そこからコミュニケーション手段としての英語の重要性に開眼し、英語力アップを自らの課題としていく積極的な姿勢を見てとれます。

15.3 高校大学連携 

今回、ASEP全体としては、高校生・大学生のプレゼンは完全に独立していたため、プレゼン作成においての高大連携はWYMのように顕著には見られませんでした。また、大学生のプレゼンも大学別に個別のチームとなっていた為、大学間連携についても課題を残しました。ただし、本校のチームに限って言えば、ASEP/WYMに参加経験のある本校卒業生の大学生がアドバイザーとして参加し、プレゼン作成や発表について自らの経験を生かした適切な助言を与えてくれました。ASEP/WYMの参加者がら学んだことをOB/OGとして後輩に伝えていくという学習資産の継承は高大連携において重要かつ必要な要素ではないかと思います。

今後は、MLや掲示板、ブログなどを活用して、大学生同士がお互いのプロジェクトに関する意見交換をおこなったり、大学生が高校生に英語やプレゼンに関するアドバイスを与えたり、また、アンケート調査にお互いに協力するなど、大学間連携や高大連携をより一層促進することが望まれます。

15.4 教員による連携指導

 

 準備期間が非常に短期間であったため、生徒の動きをクリアかつスムーズに進めるため、国内の教員同士、また日台の教員による水面下での打ち合わせが非常に重要でした。チームのチーフインストラクターは台湾側の教員でしたが、ASEPWYMといった国際連携のプロジェクトに関する経験が乏しかったため、日本側の教員によるサジェスチョンとアドバイスを頻繁におこないました。その結果、いかにして共同プレゼンを作成していったかについては、「7.共同プレゼンテーション作成の手順と展開」の項で詳述していますが、生徒の交流と連携を成功させるためには、生徒以上に教員同士が交流と連携を積み重ねることが一番重要なポイントになってきます。 

 また、今回、本校から英語教員の参加がなかったため、英語面での指導に関しては福井商業の先生に一緒に指導をしていただきました。自校の生徒に対する指導と同様に厳しくかつ愛情を持って指導していただいたことは本校の生徒にとってたいへん有意義な経験になりました。

 このような学校や国境を越えた教員の連携と自他校の生徒を区別しない連携指導こそ、ASEP/WYMという国際交流イベントを成功させる最も重要な要素でしょう。

15.5 まとめ

 以上、個別に国内外の交流・連携について述べてきましたが、今回準備期間が十分取れなかったとはいえ、各チーム内での交流・連携は事前準備後半からASEP直前にかけて大きく進展していきました。今後の課題はこのような国内外の交流・連携のさらなる深化・促進にあります。そのためには生徒以上に教員間の交流・連携を密にすることで生徒が活動しやすい環境を構築し、バックアップしていくことが望まれます。